健診の腹部エコーで「膵嚢胞」や「膵嚢胞の疑い」と言われたのに、精密検査や翌年の検査では「見当たりません」と言われることがあります。
ほっとするはずの言葉なのに、「では、最初に見えたものは何だったのか」「次の検査でまた映るのではないか」と、気持ちが落ち着かない人は少なくありません。このサイトの運営者も、人間ドックで「5mm大の膵嚢胞疑い」と言われ、精密検査で見当たらないと言われたあと、翌年の検査まで同じ気持ちで過ごしました。
ここでは、「消えた」と言われる場面に混ざっている、いくつかの違うことを整理します。どれに当てはまるかを決められるのは、画像を見た主治医だけです。
1. はじめから嚢胞ではなかった
腹部エコーは、体の外から超音波を当てて見る検査です。膵臓は胃や腸の後ろにあり、腸のガスや血管、まわりの臓器が重なると、そこに何かがあるように見えることがあります。
その後のMRI(MRCP)や超音波内視鏡(EUS)のように、膵臓をよりはっきり見られる検査で「見当たらない」と言われた場合、最初の所見が嚢胞ではなかった、という可能性があります。
2. 検査の種類や条件で、見え方が違う
小さな嚢胞は、検査の種類や、その日の体の状態によって、見えたり見えなかったりします。腹部エコーでは捉えにくく、MRCPや超音波内視鏡でようやく見える、ということもあれば、その逆もあります。
同じ人でも、検査を受ける病院や機械、担当する人が変わると、所見の書き方が変わることがあります。気になるときは、前回の検査の画像や結果を持参して、比べてもらえるか聞いてみるのも一つの方法です。
3. 本当に小さくなった、なくなった
嚢胞の中には、時間とともに縮むものもあります。たとえば、膵炎のあとにできる「仮性嚢胞」は、自然に小さくなったり消えたりすることがあり、日本膵臓学会などのガイドラインでも扱われています。
一方で、IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)と考えられる嚢胞が小さくなったり消えたりするのは、まれだとされています。イタリアの施設で3,146人を調べた報告では、膵炎の既往がないのに嚢胞が小さくなった・消えた人は12人(0.38%)で、完全に見えなくなったのはそのうち3人でした。
つまり、「消えた」と言われたときに、どれに当たるのかは人によって大きく違います。
「見当たらない」と言われたあとに
- 次の検査をどうするかは、主治医に確かめる。 経過観察を終えてよいのか、念のため次の健診で見てもらうのかは、人によって違います。
- 健診の問診票やドックの申し込みに、これまでの経過を書いておく。 「◯年に膵嚢胞疑い、精密検査で所見なし」と伝えておくと、見る側も比べやすくなります。
- 気持ちが落ち着かないのは、おかしなことではない。 指摘された日から、見当たらないと言われるまでの不安は、ちゃんとありました。それが一度で消えないのは自然なことです。
同じ経過の人の記録
このサイト「けいかろく」では、「精密検査では見つからなかった(自分で経過を見ている)」という状況や、検査の記録に「見当たらなかった」を残せます。名前もメールアドレスも出さずに、同じ経過の人がその後どうしているかを、少しずつ集めていく場所です。
※ この記事は、運営者が公開情報をもとにまとめたものです。医療の助言ではありません。